 |
人間は様々な関係の中で生きていますが、その中でも家族や身内はもっとも身近で大切な人間関係でしょう。生まれてきて何も出来ない自分にミルクを与えオムツを替えやがて乳児から、危険なことから守られ幼児となり、公園や散歩などに連れて行かれ少年へ、そして将来の心配をして戴き青年になり、やがて大人になっていきます。その過程で、人格形成に一番大きな影響を与えるのが身内や家族なのです。
家族や身内は、他人と自分の間に位置づけられる存在、他人よりも自分に近い関係にあります。しかし、家族といっても、夫婦はもともと血のつながりはありませんし、核家族化が進む中、家族でも同居してないケースも少なくありません。ましてや親戚は、冠婚葬祭のときにしか会う事のない、もっと遠い存在であることが多いもの。それでも、他人ではありません。家族や身内というのは、微妙な位置関係にあるわけです。
一方、家族や身内以外の人間関係は、経済的報酬とセットになっていることが多いものです。学校であれば、先生は生徒にものを教えることで、学校や地方自治体から報酬を受け取ります。これらは、経済的な合理性のなかに定義されている関係です。ところが、家族の場合、「ご飯をつくってくれた」「育ててくれた」「相談にのってくれた」など、一つひとつの行為に対してお金を払うことはないのです。
子どもは親の無償の愛によって支えられている非経済的な関係です。こうした関係のなかでは、ともすれば、「なにかをやってもらって当たり前」という錯覚に陥りがちです。親は育てるのが当たり前、親の務めだ、となりがちです。また、親は生まれた時から自分の前にいて、空気や水や重力や地面と同じように当たり前の存在になっています。そのため、自分と区別して認識するのが難しい存在になっているわけです。
しかし、この認識するということは、家族や身内を褒める上でとても重要なのです。認識というのは違いを見るということです。人は無意識のうちに自分と相手を比較して違いを見つけ、過去と現在を比較して変化を認識しているのです。違いがあれば、認識しやすいし、褒めやすいのですが、あまりに身近な存在で、そこにいて当然で何かをやってもらって当然という感覚だと、その有り難味や、よいところを他人のように褒めるのが難しくなってしまいます。もっとも身近な存在で、気づきにくいからこそ、普段から、微妙な違いを意識する心がけが大切なのです。
人を褒めるという事は、適当におだてておけばいいと思っている人もいるかもしれません。しかし、おだてる事と褒める事は根本的に異なります。おだてるとは、漢字で「煽てる」と書くことからもわかる様に、「煽動する」という意味があります。相手になにかをやらせようと煽てる。それは相手をこちらの意図の通りにコントロールすることです。
.. 3/12(Fri) 06:57[27505] |